601 / 668
・
元々洋食より和食派だった守弥だが。
咲良を迎え入れてから、食の幅が広がったような気がしている。
咲良と向かい合わせに座って食べると、食べ物の味が更に美味しく感じるのだ。
所作の美しさもさることながら、とにかく美味しそうに食べる。
ニコニコしながら上機嫌で。
小さめの口だから大量に詰め込まない。
しっかりもきゅもきゅしてから飲み込む。
飲み込んだ後、表情がふわっと和らぐ。
「どうかされましたか…?」
「ん?いや、なんでもない」
チキンブレストをひと口頬張る。
「………」
ハーブと塩の絶妙なバランス。
胸肉なのにしっとりしていてパサつきもない。
「旨い…。
旨いんだが、………やっぱり咲良が作るご飯が一番旨いな…」
「………っ」
「どうした?」
「はっ、反則でございまする…」
「………?」
おにぎりを両手で持ったままで頬を染める咲良。
その頬に一粒米が残っている。
「珍しいな。ふふ…」
「………っ」
その一粒を摘まみ、自然な流れで守弥がパクっと食べる。
「……っ、…ぁ…っ、……っ」
ボッフウ!と蒸気が吹き出してしまったかのように顔が熱くて仕方ない。
いまだに初々しい反応をする咲良と上機嫌の守弥。
時雨やばあ様がこのふたりのやり取りを見ていたら、間違いなく爆萌えしながら激写していたに違いない。
ともだちにシェアしよう!