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食後のデザートも中々だった。 咲良はイチゴとホワイトチョコのシロクマパフェ、守弥はきな粉と黒蜜がけのわらび餅と抹茶アイスのセットをオーダーしていた。 「シロクマさんが可愛らしいです」 嬉しそうにしている咲良の前にパフェ用のスプーンと一回り小さめのスプーン、クッキーやクラッカーが並べられた小皿も一緒に来た。 「スプーンが2つ…?」 「食べる用とお裾分け用らしい」 守弥の前にも2つのスプーンと最中の皮や薄焼きの煎餅の小皿が置かれる。 「このクッキーや最中の皮に乗せてお裾分けするのですね」 「みたいだな」 一度口に入れたスプーンでひと口ちょうだいは余り良くない。 何度かそういうトラブルがあって、そのまま食べても良いようにクッキーやクラッカーを付けているらしい。 もちろん、オーダーしたお客自身が食べても問題ない。 「守弥さま、こちらを…」 「いいのか?」 「はい」 「ありがとうな」 「ふふ」 ニコニコしながら咲良が差し出したのは、シロクマの片耳だ。 ホワイトチョコでコーティングされたラングドシャは、口の中でほろっとほどけて余韻を残す。 「うまい」 「よかった」 「こっちも試してみてくれ」 「ありがとうございます」 最中に包んだのは抹茶アイス。 もう1つには黒蜜ときな粉がかかったわらび餅。 それを取り分け皿に乗せた。 「お裾分けすると、何倍も美味しゅうございますね」 「ああ」 クラッカーに乗せたアイスクリーム、守弥の皿にあった最中の皮に挟んだイチゴと生クリームとアイスクリーム。 あれこれ工夫して包んだり、クッキーやクラッカーで掬いながら食べるのもまた楽しい。 守弥に至っては、ラングドシャで掬った抹茶アイスを咲良の口に運んだりもした。

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