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「兄さんの服で巣作りかぁ……。 咲良、かんわいい……っ」 「…………っ、あっ、あれは……っ、その……」 ボッフゥ! 再び顔が赤くなる。 「兄さんが車から降りるなり猛ダッシュするから慌てて付いてったらさ、巣の中で目をウルウルさせてて滅茶苦茶かんわいかった……」 「わ、わたくし……、」 「それだけ睦まじいってことだねぇ」 守弥の香りや存在に包まれるのは、咲良にとってかなり重要だ。 身内との情が薄かった分、好きな気持ちが溢れそうになって息苦しくなる事が増え、どうにもならなくなる。 これ以上好きになれないだろうと思う位にキュウキュウしても、一晩経てばもっともっと守弥を慕う気持ちが強くなっているのだ。 「わたくしは……、何処かおかしいのでしょうか……っ」 「おかしくないよ。 好きな気持ちを胸のとこでギュウウウってすると、気持ちが凝縮されてもっと好きになりたくなる。 姫と鬼の関係は、そんな風に出来てるからねぇ」 「………っ、……好きという気持ちには、果てがないのでございますか?」 「少なくとも、さくらはそうなんだろう? ばばは喜ばしいと思うねぇ」 「………………」 喜ばしいとばあ様に言われて、すこしホッとする。 「兄さんだって、満更でもないだろうし」 「………………っ」 見上げると、守弥も顔が真っ赤になっていた。

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