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「甘噛みを交わすと、お互いへの気持ちが強くなる。 大事にしたいと思ったり、好きで仕方なくなるからねぇ。 巣作りをするようになってきたのは、守弥との関係を構築する不安が無くなって来ている証だよ」 「そうなのですか……?」 「さくらの中で、好きって気持ちが育ってるんだよ。 大丈夫。 16歳になったら、名実ともに夫婦だねぇ」 「夫婦かぁ……。 いいなぁ。可愛くて健気で胃袋もがっつり掴んで貰っちゃうかぁ……。 憧れちゃうなぁ、俺」 寄り添う二人を見て、時雨がしみじみ呟く。 「俺の姫って、何処にいるんだろ。 咲良みたいに健気な子かなぁ?」 「時雨は強気な子がいいと思うねぇ。 言いたいことをポンポン言って分家の子達も軽くいなすくらいの女傑とかね」 「………………! え、俺も咲良みたいな子がいいよっ。 女傑とか、尻に敷かれちゃうじゃない?」 「時雨さまは、敷かれてしまうのですか……?」 強気でポンポン言う……。 女傑……? 何故だろうか。 咲良の頭の中に現れたイメージは咲耶だ。 「………………」 猪とまでは行かないが、咲耶は思ったことを口に出して行動する。 でも。 暴走する前に時雨がうまいこと止めてくれそうな……。 いつも何か我慢というか、見えないところで遠慮がちな時雨。 ガンガンぶつかるけれども、それがしっくり来るような……。 咲耶と同じような姫……。 「わたくし、時雨さまのお相手とうまくやっていけそうな気がいたしまする」 「え、ちょっと!強気な女傑に決定な訳!?」 「みたいだな」 「兄さんまで、ひどっ!」 困り顔の時雨なのだった。

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