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咲良の両親も落ち着いたところでばあ様が扉を開けた。 猫又が先導して拝殿に入る。 「あら、可愛らしい猫ちゃん」 「ほんとだ」 春日の家族には普通の猫として見えているようだ。 『うまく擬態してんね』 『うん。二股の尻尾を合わせてもふもふの尻尾にしてんだ』 守弥のきょうだい達は二匹の猫が猫又だと気づいている。 『付喪神だから普段は見えないけど、あのリボンつけたから見えてんだね』 『あ~、あれね…』 首輪につけたリボンには結び目にご祭神から分けて貰った花びらが入っているのだ。 トテトテ歩く猫又に先導されて咲良が拝殿に入る。 巫女装束に紗の袿を目深に被っていて、その後ろを守弥がついていく。 なんだか動きがぎこちない咲良をさりげなくサポートしているのも微笑ましい。 「かっ、かわ…っ」 「うしゃこ、綺麗…っ」 「緊張してるのも可愛い…っ」 「手と足ギコギコしてる…っ、可愛すぎ…っ」 守弥の弟妹が激萌えし。 「さくらちゃん、きれい…」 「結婚式みたい…」 「おにいさんカッコいい…」 咲良の弟妹も二人の姿にため息をこぼした。

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