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『ふおおおおおお!? え、ちょ、ちょっと待って! 首筋とか綺っ麗ぇぇぇぇぇ!ホントに年頃の男子なの!?嘘でしょ!つか、うなじのあたり滅っ茶苦茶エっロいんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! やば!マジでぇぇぇぇぇぇ!?激写!激写させてぇぇぇぇぇぇぇぇ!』 間近で時雨が爆裂萌えをしているのに気付き、守弥が一瞬目をパチクリさせた。 咲良に至っては、時雨の激萌えっぷりにドン引きしているくらいだ。 『あ…。 あ、そうか、そうだねぇ…』 普段咲良と触れ合っている守弥なら免疫が出来上がっているが、長い髪の姿しか見ていない時雨には咲良の首筋やうなじは刺激が強すぎた。 『分家の子らだったら、見事に鼻血ものだねぇ…』 自分の兄の対だと分かっているからこそ自制できているのだろうが、この激萌えは止まれそうにない。 『初音、双葉、ちょっといいかい…?』 後ろに控えていた二人をひっそり呼ぶ。 普段は外宮にいる守弥の姉達だ。 『あー……うん…、時雨をどうにかすりゃいいのね?』 『りょーかい。 うさこの晴れ舞台を潰す訳にはいかないもんね』 殺気など微塵も見せずにすいっと時雨の近くへ進む。 「………?」 気づいたときには乱れ箱は双葉が受け取っていて、初音が時雨を肩に担いで親族の席の方へスタスタと歩き出していた。 『時雨』 「………?」 『ハウス』 「…!、は、はい…」 姉の一言で動悸は落ち着き、逆巻くように上がった体温も少し下がってきた。 『ありがとうね~。 危うく咲良にヘンタイなことするとこだったわ』 『気持ちは分からないでもないけど、修羅場にだけはなんないでよ』 『うう…面目ない…。気を付けます…』 『取り敢えず、心の声を口から駄々漏れにしなかったのは誉めてあげるわ』 『はい…』 「可愛い弟嫁(予定)の晴れ姿を間近で見たいので乱れ箱係りを交代しますね~」と双葉が説明して、何事もなかったかのように場が収まった。

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