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裾が内側に軽くカーブするように揃えられた髪。
肩や襟元、背中に落ちた髪を払い落とし、床に落ちていた髪と一緒にもう一つの乱れ箱へ収める。
「………」
左右のバランスも申し分ない。
「ん。大丈夫だな」
うんうんと守弥が頷き、両サイドの髪を櫛ですく。
懐から取り出したもので纏めた髪を留め、カットケープ代わりにしていた袿を外す。
「いいぞ」
「は、はい…っ」
椅子から降りて緊張ぎみに振り向くと、守弥の家族も春日の家族も目を大きく見開いている。
「に、似合いませぬか…?」
「そんなことないよ。
今まで長い髪のさくらしか見たこと無かったからねぇ。
前よりもっと可愛くなったってばばは思うよ」
「本当に…?まことに…?」
「うんうん。
小首を傾げたとこも、前より可愛いよ~」
ばあ様と時雨がニコニコして答えると、漸くホッとした表情になった。
咲耶も歩いてきて、ふむふむと頷く。
「そっか…、ハーフアップかぁ。
サラッサラでキラキラしてるし、すんごい似合ってるわ…。
流石よね…。咲良に似合うスタイルをちゃんと分かってんだもの」
手際の良さもあるが、違和感の無い髪型をチョイスしているうえ、髪留めをつけていても嫌味な感じがないのだ。
咲良を守弥が大事にするように、自分を大事にしてくれる相手がいつか出来るのだろうか…。
『やばい…。
まっっっっっっっっったく想像つかないんだけど…』
うっすら冷や汗が流れたような気がするが、敢えて気づかないことにした。
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