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長い髪からショートボブになり、なんとなく自分がとても身軽になったような気持ちの咲良。
もちろん毎朝守弥が当然のようにブラシを丁寧にかけてハーフアップにするのだが、体育や着替えなどで乱れた場合の為に自分で整える練習もしている。
「いかがでしょうか…?」
出来上がりが不安で、ついついばあ様に確認をしてもらう。
「うんうん。
とても可愛らしいねぇ。
それに…」
「それに?」
「守弥が作った髪留めもとっても似合ってるってばばは思うよ」
「……っ、え…、ぁ…、う…」
そうなのだ。
金具は仕方ないとして、飾りの部分を守弥が作ってくれた。
「ぷらばんっていうのを色づけしてから焼いて型を合わせて、固まる液を塗ってピカーっとさせるんだったかねぇ」
「ええ…。
守弥さまの器用さには本当に驚くばかりでござります」
プラ板に色鉛筆で色を薄めに重ねてボカシを入れてから余白を切り落とし、しわしわにしたアルミ箔を敷いたトースターで焼く。
熱が逃げぬ内に金具と角度を合わせて曲げ、プラ板が落ち着いたらヤスリ掛けをし、レジンを塗ってUVランプで固める。
それを幾度か繰り返し、見事な髪飾りを仕上げていく。
「わたくしの髪を整えるだけでも器用ですのに、髪飾りまでお作りになるとは…」
「そうだねぇ。
もともと細かい作業は好きだからねぇ。
ここの仕事が暇なときは、つけ爪とか髪飾りとか帯締めなんかを作っていんたーねっとで売ってたみたいだし」
「すでに生業の一つにされてるとは…」
部屋の一角が作業スペースになっていた意味が段々分かってきた。
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