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「いよいよ明日から学校に行くんだねぇ」
「はい…」
壁にかけられた制服を見て、ばあ様がニコニコする。
それは守弥がかつて着用していたものだ。
「新調しなくて良かったのかい?」
「ええ。
2ヶ月か3ヶ月しか着ませぬし、その…」
「ん?」
「………お下がりに袖を通してみて…、その……守弥さまが傍にいらっしゃるような感覚で…。
とても、安心いたしますゆえ…」
「…ふむふむ…」
頬を染める咲良に、ばあ様も納得する。
咲耶や守弥の弟妹達が同じ校舎にいるとはいえ、大人数の同年代の子供たちと半日一緒に過ごすのは初めてのこと。
学校側から「大丈夫ですよ」と言われてはいても、やはり不安はある。
同級生の中に溶け込めるか。
異質な色合いに拒否反応を持たれないか。
春日の家族や守弥達に迷惑をかけてしまわないか…。
そして、常に傍にありたいと思っていても、中学校に守弥が度々足を運ぶ訳にもいかない。
緊急連絡用にスマートフォンも持たせてもらうが、帰りのホームルームに返却されるまでは学校に預けっぱなしになる。
「アプリや電話で連絡が出来ないからねぇ…」
「はい…。
ですので、せめて以前に守弥さまがお召しになっていた制服を身につけているだけでもと…」
学園都市には多数の留学生もいるが、どういった反応をされるかは実際に行ってみないと分からない。
「丸っきり一人にはならないとは思うよ。
きっと、咲耶が様子を見に来るだろうし、守弥の弟妹達も休み時間の度に走って来るよ」
「……!」
「咲耶はもちろん、普段外宮に住んでいて土日にしかさくらと触れ合えないあの子らが休み時間を無駄にはしない。
それはばばが保証するよ」
「は、はい…っ」
それもそうだと改めて思う。
ばあ様がこうだねと言った事が外れたり間違えていたことはない。
一人ではないのだ。
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