625 / 668

ずうっと、これからも

山間部にはまだ雪が残る4月。 咲良は高校生になった。 「おばあ様、行って参ります」 「うんうん。今日も気をつけて行っておいで」 「はいっ」 トコトコと駐車場へ向かう咲良に、屋根の上から式神と付喪神たちが手を振る。 「おう!気をつけてな!」 「今日も一日楽しんで来いよ~!」 「はいっ、行って参りま~す!」 ブンブンと手を振ってから車に乗り込む。 守弥が運転する車で登校するのもだいぶ慣れ、持ち上がりのクラスにもとけ込めてきている。 編入初日にガッチガチに緊張して教室に入った咲良を、クラスメートは温かく迎え入れてくれた。 色彩の異なりも古風な口調にも拒否反応を示すこともなく…。 「クラスは殆ど持ち上がりだったんだな」 「はい…っ」 「言葉遣いをからかわれたりはないか?」 「はい。 無理をしなくても良い、と…」 「そうか…」 高校で新たに級友となった生徒もいたが、拒否反応どころか咲良を面白がってくれている。 咲耶と対照的に古風な言葉遣いをするのも、穏やかな気性も好意的に受け止めて貰えているのがありがたい。

ともだちにシェアしよう!