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「ご尊父さまやごきょうだいの皆さまは追い追い見てみるとして、守弥さまと時雨さまは早速……」 それぞれが抱える難点を割り出さねばならない。 構えるところからだ。 「……肘の角度が…………」 二人の肘の角度が微妙におかしい。 肘もだが、手首にも異様に力が入っている。 「楽器を持つのに、ここまで力む必要は無いのでは……。 しかも指も……」 指にもがっつり力が入っていた。 取り敢えず、そのまま音を出す。 ひょへええ!ひおおお! ぷぎぎー!ぴよびよぴいぃいいい! 「………………およそ竜笛と篳篥が出す音ではありませぬ……。 ………………?」 その壮絶な音に混じり、何かが聞こえてくる。 ぴげげげげ! 『……痛い!力一杯押すなぁ~! そんなにギリギリ力任せに握るなぁ!』 ひおおふげげげ! 『力任せに音を出すなぁ~!』 「………………! ちょ、ちょっとお待ち下さいませ!」 守弥から篳篥を受けとり、咲良が構えた。

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