630 / 668
・
ザワザワ…
ザワザワ…。
「………?」
なんだろう。
階段を上がろうとしたあたりから、いつもと違うざわめきが聞こえてくる。
廊下を走るのは良くないので急ぎめに歩いていると、他のクラスの生徒の視線が気になった。
「………?」
何故か視線が集中している気がする。
『なにゆえ…?』
何かいけないことをしてしまったろうかと首をひねる。
「あーもう、かわいかったぁ…」
「なんかさ、微笑ましかったね」
「仰木くんって、やっぱ可愛いわ」
3月までクラスメートだった生徒に背中を軽く叩かれ、頭をわしゃわしゃされる。
「…ふえ?」
「朝から可愛くていいもの見たわ。
ありがとね」
「………?」
「お互いに想い合ってるの、すんごい分かったよ~」
「………??」
「もうすぐチャイム鳴っちゃうよ。
あとで話を聞かせて」
「…?…あ、は、はい…」
なんだろう。
温かく見守ろう的な空気があって、咲良は戸惑う。
息を切らせて教室に入ると、咲耶が「おはよ」と声をかけてからデコピンをしてきた。
「ふえ…?」
「ラブラブなのは仕方ないけど、窓からバッチリ見えちゃってたみたいよ」
「………え…?」
「あまあまな雰囲気でギュ~ってしてたの」
「……………!?
本当に…?まことに…っ?」
サーッと血の気が引いていく。
ともだちにシェアしよう!