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ザワザワ… ザワザワ…。 「………?」 なんだろう。 階段を上がろうとしたあたりから、いつもと違うざわめきが聞こえてくる。 廊下を走るのは良くないので急ぎめに歩いていると、他のクラスの生徒の視線が気になった。 「………?」 何故か視線が集中している気がする。 『なにゆえ…?』 何かいけないことをしてしまったろうかと首をひねる。 「あーもう、かわいかったぁ…」 「なんかさ、微笑ましかったね」 「仰木くんって、やっぱ可愛いわ」 3月までクラスメートだった生徒に背中を軽く叩かれ、頭をわしゃわしゃされる。 「…ふえ?」 「朝から可愛くていいもの見たわ。 ありがとね」 「………?」 「お互いに想い合ってるの、すんごい分かったよ~」 「………??」 「もうすぐチャイム鳴っちゃうよ。 あとで話を聞かせて」 「…?…あ、は、はい…」 なんだろう。 温かく見守ろう的な空気があって、咲良は戸惑う。 息を切らせて教室に入ると、咲耶が「おはよ」と声をかけてからデコピンをしてきた。 「ふえ…?」 「ラブラブなのは仕方ないけど、窓からバッチリ見えちゃってたみたいよ」 「………え…?」 「あまあまな雰囲気でギュ~ってしてたの」 「……………!? 本当に…?まことに…っ?」 サーッと血の気が引いていく。

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