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「………」 おかしい。 時間の進み具合がいつもより遅い気がする。 授業に集中しなければ…。 はあ…。 ついたため息が熱っぽい。 「んぅ…」 体の芯がじわじわと熱を帯びてきている。 何故?どうして…? 体の震えがひどい。 下腹に力が入らない。 それどころかゆるゆると疼いているような感覚。 「ん?どうした?調子悪いんじゃないか?」 「ふえ…?」 教科担任が心配げに顔を覗きこむ。 「顔が赤いし、なんか辛そうだぞ?」 「う…」 緋色の瞳が潤んでいる…というより、じわっと涙が滲んでいる。 顔は上気しているし、唇は軽くわなないて…。 「ちょっとごめんな、熱あるっぽいから………うお!あっちい!」 試しに額に手を当てた教師が驚いて固まった。 「え、嘘?やっぱ熱!?」 一番後ろの席から咲耶が駆け寄り、額や頬、首筋に手を当てる。 「………あっついわね…」 「保健室に連れて行こう」 「あー………、いいよ先生、あたしが連れてくからさ」 「でも…」 「大丈夫、大丈夫。 あたしに任せといて~。よっこいしょ」 「「………!?」」 軽々と弟を肩に担ぎ、咲耶が方向を変える。 「誰か後で職員室の貴重品袋から、あたしと咲良のスマホ持ってきてくんない?」 「いいよ。任して」 「そん時に鞄とかも持ってくから」 クラス委員達が請け負ってくれた。 「ありがと。よろしくね~」 ひらひらと手を振り、咲良に負担がかからないようなるべく静かにしつつ急ぐ。 「熱いなって思ったの、気のせいじゃなかったか…」 ということは、本宮のばあ様が前に言っていたことが起こりつつあるという事になる。 「失礼しまーす! すいません、弟が発熱しまして」 「あらあら、とりあえず寝かせて。 あらまー………結構な熱…。 体温測って、それから…」 保健医が処置をしている間に咲耶は考えを巡らせた。

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