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『やっぱ呼ばなきゃダメかぁ…?』 気が重い。 だが、一番早く動けるのはあの人物しかいない。 出来れば顔を合わせたくはない。 でも、咲良をこのままにはしておけないのも事実。 「………っ、は…ぅ…」 体温は39度近い。 熱が辛いのだろう、さっきよりも顔が赤いし目が潤んでいる。 かけられた毛布の下で、何かを探すように手が動いてもいる。 『………探してるってことは、あのばーちゃんが言ってたことなんだろな…。』 応急的なことをするなら早い方がいいだろう。 でも、極力顔を合わせたくはない。 本宮のばあ様に任せたい。 「……っ、ん…ぅう…っ」 「ああ…しんどいねぇ。 とりあえず、氷嚢持って来るからね」 体内でうねる熱に耐えかねる咲良のためだ。 『咲良の為だ。腹をくくれ、あたし!』 「仕方ないなー…。 ………………………………おっさん」 「おや、呼びましたか?」 「ひええええええ!」 保健医が氷嚢を持ったまま床にへたりこむ。 驚くのも無理はない。 咲耶の視線に合わせるように空中に宮司の頭だけが生えているのだ。

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