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「今週は特に忙しかったからねぇ。 守弥にくっついてギュウッてしたくなってもおかしくないと思うよ」 「衣裳はほぼ出来上がりましたし、大体の手配も終わったんでしたっけ」 「そうだねぇ。ほぼ大丈夫だと思うねぇ」 「なら、今日は金曜日ですし、日曜日まではのんびりしてもらえそうですかね」 「そうだねぇ…」 「普段どんなに触れていても、なんとなく物足りない感じになることはあります。 隠し宮や本宮で生活していた頃と今では、体力のつき方も違いますからね」 ばあ様と宮司の話に咲耶が一瞬固まる。 「もしかして、ボルダリングで体力ついてたってことある? 長休みや昼休みに何回もあたしとタイムアタックしてたんだけど…」 「隠し宮の涸れ井戸よりも難易度が高くて楽しいとか言ってましたからねぇ。 でも、悪いことではないですから」 「そうだよ、さくや。 体の成長はちゃんとしてたけど、体力の付きかたが少し遅れてるって荊櫻には言われてたんだよ。 寧ろ良かったくらいで」 「そうですよ。 体力がついてきてそれなりに受け入れの準備が出来てきているのに、肝心の鬼が手加減し過ぎていた可能性もあります。 咲良さん自身も気後れして言えてなかったでしょうし」 チロっと宮司が咲良を見る。 なんとなく自覚があった咲良の視線が更に泳ぐ。 結婚式や進学の準備が重なり、それなりに触れあってはいても、なんとなく自重したり遠慮してしまっていた。 瑠維には言われていたのだ。 「なんとなく物足りないって時は素直に守弥に伝えた方がいい。我慢しすぎると頭の中がザワザワしてきておかしくなるから」と。 まさか、こんな大事になるとは思わなかったから…。

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