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「初心者で加減がしっかり分かるなんてないよ。
だから、気にしなくていいとばばは思うねぇ」
「ですね…。
尻に敷くのは咲良さんの役目ですが、今のところ主導権は守弥さんにありますし」
「良く分かんないけど、咲良が悪い訳ではないってことね。
でも、あのにーさんが悪い訳でもない、と」
「うんうん。
さくやは優しくて賢いねぇ」
ばあ様がニッコリ笑って咲耶の頭を撫でる。
『ひと頃の荒ぶりが嘘のようですねぇ…。
咲良さんと一緒にいるようになって、随分思慮深くなったような…。
ふむ…』
幼少の頃に便宜上とはいえ性別を入れ替えての生活をしたり、七才になったその日に初めて顔を合わせた姉弟。
とりかへの儀も形ばかりのものではあったが、少しずつあるべき関係に落ち着いて来ているのだろう…。
ある程度は。
『殊更に厳しく躾けた訳ではないですが、咲良さんの気性と淑やか…いえ、優美な仕草は消えるものではないでしょうし、ゴリラ娘にとっては良い手本のようなもの…ですかね』
かつては顔を合わせる度に可愛げがなくていがみ合った咲耶の変化に驚く。
『ま、でも下手に評価はしないでおくのが良いですかね』
言わぬが花だと思いとどまる宮司だった。
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