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寝台の上へ倒れ込んだ咲良から紗が離れて大気へ溶けていく。 「は…う……ぅ…」 「さくら、大丈夫か?」 「辛そうだなぁ…」 背中を摩ったり呼吸がしやすいようにしてやりたいが、対の守弥に焦がれている咲良に迂闊に触れるわけにもいかない。 「は…、ぐぅ……ぅ…」 はぐはぐと喘ぐように寝台に残る守弥の香りを深く吸う。 それだけで、下腹の熱が更にうねる。 ぐり…っ。 「あ、………っ、んぅ…う…」 部屋の中には守弥の気配がするものが沢山ある。 それらをかき集めたい…。 自分の周りに置いて、守弥の気配と香りだけに包まれたい…。 「手がふるふるしてるな」 「うん」 「巣作りしたいんだろな…」 潤んだ瞳が守弥の愛用の品々を捉えて更に潤む。 「……は…ぅ………」 巣作りしたい。 守弥の物だけに囲まれて、うねる熱に苛まれたい…。 ずくんっ。 「………ん、ぁ……っ」 辛い。 熱がグリグリと体内を畝って回り、頭の中は守弥のことだけで満たされていく。 「あっ、……ぅう…っ」 講義が終われば直ぐに帰って来てくれるのは分かっている。 分かっているけれど、早く触れられたい。 ぎゅうぎゅうと抱き締められて唇を塞がれたい。 「はぅう…っ」 疼きを伴う熱に、呼吸が乱れて止まらなかった。

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