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「さくら」 「巣作りするか?」 付喪神達が心配げに覗きこむ。 「んんぅ…っ」 守弥に作って貰った髪飾り。 守弥の部屋着。 寝巻き。 上着。 ジャケットやスラックス、ジーンズ。 ありとあらゆるものをかき集めて、自分の周りに積みたい。 囲まれたい。 巣作りしたい…。 上体を起こして守弥の残り香を吸い込む。 「ぁ……っ、………ぅ…」 頭の奥がジンと痺れ、下腹で熱がグリグリとうねる。 背中がゾクゾクして、体勢を保てない。 「巣作り…しと…ございまする…」 でも。 「でも…、」 今の自分の欲求のままに巣作りをしてしまえば、寝台の上だけでは済まなくなる。 足腰の立たない自分の代わりに、急いで帰って来た守弥がそれを片さねばならなくなってしまう…。 「できませぬ…、守弥さまが、困って、しまいまするぅ…」 「「えええええぇ…」」 かぶりを振る咲良の半泣きの言葉に、付喪神も式神も、猫又の姿のご祭神も目が点になってしまった。

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