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少しだけ時間を遡る。 宮司が帰って直ぐに鬼夜叉へLINEを打ったところ、「ただの焦れ焦れならいいが、加減がおかしい可能性も捨てがたい。頭の中がざわざわし始めたら枯れる。戻せなくなる前に急いだ方がいい」と返信が来たのだ。 荊櫻の息子達も、伴侶を求めるあまりに何度か似たような状況になったことがあるという…。 璃音は1ヶ月ほど仕事の都合で伴侶から離れたために、理性が飛んで進路に立ちはだかる警備員を片手で吹っ飛ばしたり、軽い動作で分厚い金属製のドアを蹴破ったことがあるという。 兄の瑠維も、伴侶達が結婚式をサプライズで企画した際、もともと多忙を極めていた上に触れ合いが激減してしまい、精神崩壊寸前まで追い詰められたと聞き、背中がざわついた。 「杞憂だといいんだが…」 講義が終わって直ぐに車に飛び乗った守弥は、本宮に向かって飛ばした。 結婚式まであと僅か。 守弥だけのものになる準備をしてはいる。 ただ、咲良の体にあまり負担をかけない程度に抑えてきた。 加減しすぎたことで焦れ焦れを誘発したのではないか。 気遣いが仇になったのではないかと思うのだ。 好き過ぎてぶっ壊れる…。 咲良ならあり得そうな気がして、更にアクセルを踏み込む。 ドンっ! 「………っ!」 いつもの道の駅に差し掛かったところで、ドクリと心臓が跳ねた。

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