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考えあぐねるばあ様の後ろから、式神が助け船を出した。
「どうしたら、好き好き大好きと、心の丈をもっと伝えられるか…なのですね?」
「はっ、はい!」
「でも、うまく伝えられるか不安でもあるのですよね」
「そっ、そうなのです!
守弥さまを目の前にしてしまうと、どうにも照れてしまってうまく言えていない気がするのです。
どうしたらお伝え出来るのでしょう…っ」
その場にいるばあ様も付喪神達も、咲良の気持ちの深さが守弥へ充分伝わっているし気づいていると思っている。
だが。
「わたくしがこういう気持ちを抱いたのは初めてで…。
どのくらい深く好きになればよいのか、どうお伝えすればよいのか、加減がわからないのです。
祭事や神事は沢山学びましたが、人を恋慕うことは…」
「…………なるほど…。
それは難しい案件ですね。
では、こうしてみてはいかがでしょう」
コクリと咲良が喉を鳴らし、前のめりになる。
「見詰め合うと上手く話せないのなら、まずはギューっと抱きつくのです」
「……抱きつくのですね?」
「ええ。
で、守弥どのの香りを目一杯吸い込むのです。
好き好きはにゃ~ん!となるくらいに」
「はいっ!」
真剣に説明する式神と、真剣に聞き入る咲良。
「その好きな気持ちを心の臓のあたりでギュウウウっ!と。
練習してみましょう。
先程の守弥どのは、貴方にとってどうでしたか?」
「っ、あ、あ、の、とても凛々しくて…。
いつも凛々しいのですが、いつにも増して凛々しくて、わたくし胸がキュンキュンっ!と…」
「その胸のキュンキュンしたものに、もっと好き好き~っ!という気持ちを重ねていくのです」
「もっと…、好き、好き…っ」
好きだという気持ちの動きが、なんとなく分かってくる。
「もっと好き好き!に、もっともっともっと好き好き好き!と重ねていくのです。
凝縮しては重ねて、凝縮しては重ねる。
小さな雪玉が、転がすにつれて大きくなるように」
なるほど。
うまい表現ではある。
好きな気持ちを雪だるま方式で増やす…。
ばあ様も興味津々で二人のやり取りを聞いていた。
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