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ひらり。
はらり。
ひらひら…。
ほどけた花びらが床に舞い落ちる。
舞い落ちて、そっと大気へ溶けていった。
「うわぁ…」
「凄いねぇ…」
本宮に移動したタイミングで、ばあ様がそっと二人の傍へ歩いていく。
通常の神前式であれば玉串を捧げたり三三九度をするのだが、鬼の結婚式は少し違うと咲良は教えて貰っていた。
「………」
被っていた袿をゆっくり下へずらす。
その仕草の一つ一つに参列した家族の席からため息が漏れる。
それは、向かい合って立つ守弥も。
「………?」
小首を傾げる咲良。
『なんでもない。
大丈夫だ』
『はい………っ』
お互いにしか聞こえない声で囁き、咲良の面を外していく。
外した面はばあ様が受け取っている。
「う、うしゃこ…っ!」
「ちょ、ちょっと待って…っ」
「か、かわ…っ!」
「咲良ちゃん、可愛い…っ!」
「うさこ…っ!」
守弥側の親族の席からどよめきの声が上がる。
『ちょ…っ、咲良滅っ茶苦茶綺麗なんですけど!』
『やっば!
昨日見たより可愛くてどエロいってどゆこと!?』
『昨日っていうより式の前でしょ』
『あら~、可愛いわぁ…。
お膝に抱っこしたいわお母さん…』
『わかる…』
『抱っこだけで終わんないって』
『横顔だけでエロ可愛いの爆上がりしてんの分かるのすご…!』
『うわわわわわ!やば!鼻血鼻血!』
皆が慌てて懐紙で鼻を押さえる。
クリっとした目。
通った鼻筋。
小ぶりの唇は果実のようにふっくりしている。
儚げで可愛いらしく、且つ色香を漂わせる風情…。
まさに鬼が好む容姿そのもの…。
『やっっっっっっば…。
咲良滅茶苦茶可愛い…!しかもえっろい…っ!
本人に自覚なんて無いだろうけど、これ、本気で兄さんを落としにかかってるって!
うわー……、滾るわー…。めっちゃ尊い…尊いぃぃぃぃぃ…』
番がいない者にとって、今の咲良は刺激が強すぎるのだろう。
その反応っぷりに宮司がうっそりと微笑む。
『ふっふっふ…。
まだまだ修行が足りませんねえ…。
私が手塩にかけて育てた咲良さんは、どんどんエロ可愛くなっていきますからねえ』
咲良が紐を外しやすいように守弥が少し屈む。
鬼の面が外され、二人が間近で見つめあう態勢になった。
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