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「「……………っ!」」
守弥のきょうだい達が自分の首筋を押さえて息を飲んだ。
「うわぁぁぁぁぁ…っ、いいなぁ…っ」
「好き好き満載の返しってぇ…」
「爆萌えぇぇぇぇぇ」
「尊い…っ、尊すぎるぅぅぅぅぅぅ」
「守弥兄ちゃん、いいなぁ…」
「むっっっっっちゃエっロぉ…っ」
「うしゃこに噛まれたい人生だった…ぐは…っ」
鬼の血を引く者にとって、求愛の甘噛みへの返し…応えの甘噛みは何よりも欲しいものだ。
殊に、最も鬼が好む容姿と性質を持つ咲良からの応えの甘噛みは。
『ふむふむ…。
中々にエロ可愛い応えの甘噛みですねぇ』
『守弥もかなり堪えてるけど、爆萌えしただろうねぇ』
『春日の家の皆さんに鬼と姫の関係性や甘噛みの説明をしておいて正解でしたね』
『一般の結婚式では噛まないからねぇ。
これでみんなにドン引きされたら大変だからねぇ』
『ですねぇ。
今後のお付き合いにも関わりますし』
うんうんと頷くのは宮司とばあ様だ。
両家の面々が見守る中、頬を染めた咲良を守弥がぎゅうぎゅうと抱き締めている。
「ありがとうな、咲良」
「はう…」
上気した頬。
潤んだ緋色の瞳が堪らない。
額に一つ口づけを落とし、ゆっくりと向き直る。
「…ご尊父、ご母堂。
…この場に立ち会いし皆様に心からの礼を申し上げる」
「「………っ」」
春日の両親が息を飲む。
あの日。
桜吹雪の中響いた声…。
「掌中の珠の如く慈しんだ咲良を…。
魂の縁が続く限り…、いや、永遠の対として貰い受ける。
共に手を携え、愛し合い、大事に慈しむことを固く誓おう」
「「………っ」」
それぞれの両親の涙腺が崩壊し、きょうだい達も胸がいっぱいになった。
「…うれ…しゅ…う…ございまする…」
きゅうっと抱きつくと、守弥が強く抱き締める。
「長い長い間頑張ってきたからな…。
まずは、べったべたに甘やかすところから、だな…」
「……っ、ぅ………」
耳まで赤く染める咲良と、凛々しくも悪戯っぽく微笑む守弥。
その穏やかで甘くて微笑ましい二人を見て、ばあ様も漸く胸を撫で下ろした。
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