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いつもは咲良が組み敷かれるのだが。
「あっ、あっ、あの…」
今日は体勢が逆になってしまった。
つんのめった咲良を受け止めたまでは良かったが、守弥もよろけてしまったのだ。
寝台の上、いつもと反対の体勢…。
「申し訳ありませぬっ。
直ぐに降りますゆえ…っ、ひゃっ」
「この体勢も悪くない。もう少しこのままでいろ」
「はわっ、はわわわ…っ」
引き寄せられて起き上がるのを阻まれる。
「あっ、あの…守弥さま…っ」
「暴れるな。
やっと捕まえたんだ。もう少し待ってくれ」
「あっ、………………はう」
腕の力を抜いて体を預けると、守弥も締める力を緩めてくれた。
「重く…ありませぬか…?」
「軽い。全然問題ない」
「わたくし…汗臭くありませぬか…?」
「いつもの甘い香りしかしない」
つつ……。
きゅ。
「んん…っ」
後頭部を撫でた手がゆっくりと滑り、艶やかな髪を指で絡めとられる。
それだけで、心臓がバクバクする…。
「ん…、ん…っ」
血が逆流してしまっているのだろうか?
クラクラして、頭の中が白く塗りつぶされていく。
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