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眠る時に胸元に耳をくっつけることはあるけれど、こうして守弥に乗っかることはあまりない。
「……咲良」
「ひう…っ」
耳元に吐息が当たる。
それだけで、体が甘く疼いて。
かりり。
「ひあっ」
耳殻を軽く噛まれて体がビクビク跳ねてしまう。
「後頭部も耳も弱いからな、お前」
「ひう…、にゃ…っ、にゃ…」
守弥の呼気が耳に当たって、腰の辺りがゾワゾワする。
嫌々とかぶりを振ると、赤子をあやすように背中を摩られた。
「意地悪をしてる訳じゃないからな?」
「えうう…」
体を少しだけ起こしてみると、守弥は穏やかな表情をしていた。
「意地悪…ではないのですか…?」
「ああ。
お前がぺったりくっついてきたから嬉しくてな」
「……っ」
こうしてくっついていて嬉しいのが、自分だけではなくて。
守弥も嬉しいのだと知って心が浮き立つ。
「わ、………わたくしも…嬉しゅうございます…」
「一緒だな」
「はっ、はい…っ」
顔が熱くて仕方ない。
いや、全身が熱を帯びているのかもしれない。
式神と好きを凝縮する練習をしたからなのか、それとも、守弥と一緒にいるからなのか…。
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