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「そんなに、……」 「………ふえ…?」 「そんなに、俺のことを…」 「はい…っ」 自分の存在全部に想いを満たしたいと言われて、守弥は目の前がクラリとした。 口づけに酔っている時に好きだと呟いてるだけでも充分なのに、まだ足りないと思っていたことが衝撃で。 「お前の中に息づく思いは、どれだけ深いんだ…」 「まだ、まだまだ足りないのです…っ」 ギュウッと抱き締めると、咲良も背中に回した腕に力を籠める。 「わたしは…加減が分かりませぬゆえ…」 「充分伝わってる。俺の方がまだまだだと思っていたのにな」 「いえ…。守弥さまがどれほど大事にして頂いているか…。 身代わりで嫁いだのに、甘噛みも、日々慈しんで頂いていることも、わたくしは…っ、わたくしは…っ、んう…」 チュ。 「んん…っ、…っ、ふあ…」 「…健気過ぎるんだ、お前は…っ」 「いけないのなら、直しまする…。 守弥さまが思い描くわたくしになりまするゆえ…っ」 「とっくに…」 「ん、んん…っ」 ぷっくりした唇を啄む。 これ以上聞いていたら我慢できなくなりそうで、何度も何度も啄む。 とっくに理想以上の花嫁になっていたのだ、咲良は。 守弥が気づかないようにしていただけで…。

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