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…しゃ…りぃ…ん。
………しゃあ……ぁ…りぃぃん…。
微かに鈴のような音がする。
守弥にも咲良にも聞き取れない、密やかな音。
それが、ゆっくりと窓の外へと響いて行き、石庭の中空で小さな渦になった。
しゃりいぃぃぃん…っ。
しゃぁぁぁぁぁん…っ。
二つの音は共鳴を起こしながら更に渦巻いて、森の奥まで響き渡っていく。
泉の水面を波立たせ、ご神木の枝を揺らし、隠し堂の石像達のもとまで音は達した。
「ほほう……、久々に聞くなぁ。こんな綺麗な共鳴りは」
一切の濁りの無い綺麗な音を耳にして、ご神木の中から鬼も姿を現した。
「魂の核が抜けた鬼と、鬼の魂の核を封じた姫。
深く想いが通じたということは……、大きな障壁が発動するな…。
予想よりもかなり早いが…」
守弥の公算が高いが、石化の試練はどう転ぶかわからない。
四肢が徐々に石化していく恐怖に耐えきれず、自我が崩壊した姫が何人もいた。
霊力が高くとも、鬼とて安泰ではない。
姫の内包する霊力が高くて、石になった鬼もいる。
成功率皆無の儀式だ。
守弥と咲良が、どうにか乗り越えてくれたなら…。
「堂の中の鬼や姫と同じ様にならねば良いが…」
手助けすることは禁じられているが、二人が乗り越えてくれることを願いながら、鬼は再びご神木の幹の中へ消えた。
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