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翌朝。 朝食の後片付けも終わり、一息付いたところでばあ様は咲良と石庭に出ていた。 「昨日の夜は、何かいいことでもあったかい?」 「ふえっ?」 「守弥の機嫌がすこぶるいいし、咲良も目がうるうるしてるよ」 「あっ、あの…、その…っ」 俯く咲良の手を引き、泉を囲む石に腰かける。 「……昨晩、守弥さまに…お慕い申し上げていることを、少しだけお伝え出来たのです…」 「そうかい。話せたんだねぇ」 「はい。 守弥さまは、十分伝わっていると仰有いました…。 それから…」 「ん?」 「わたくしに此れを…」 咲良が懐から取り出したのは紗。 真ん中が少し盛り上がっているのは、何かを包み込んでいるからだ。 「何かねぇ…?ばばに見せてくれるかい?」 「もちろんです」 「………っ」 恭しくほどかれた包みの中には、守弥の対の石があった。 「これは、守弥の…」 「やはり、おばあ様はご存知なのですね?」 「ああ…。でも、ここまで変化していたんだねぇ…」 花が開くように変化し、淡く明滅していたところまではばあ様も知っていたが…。 守弥の対の石は、更なる変化を遂げていた。 「綺麗だねぇ…」 「はい…っ」 中心部から花びらの途中まで淡い色合いに染まり、穏やかに光を帯びていた。

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