縁側に座り、ばあ様や付喪神達と布を選ぶ。 祭の衣裳に使った端切れはそんなにないが、咲良が此方の世界に来てから作った衣裳や和服のものは結構あった。 「この錦は？」 「こっちの布もいいぞ！」 「首にかける紐と色を合わせてみようぜ」 「どうしましょう…。沢山ありすぎて選べませぬ…」 「とりあえず、肌触りの良いのを選り分けてからかねぇ…」 腕の内側に当てて肌触りを確かめる。 チクチクとした感触のあるものを傍らに寄せ、少しずつ選別していく。 「こっちの紐も、軽くてすべすべするのを選り分けちゃおうかねぇ」 「これ、ちょっと重い」 「これは硬いから、擦れちゃうな…」 「太すぎるのも結わえづらいよな」 ある程度絞り込みが出来たが、思い入れのある生地もあって選びがたい。 市販のものや咲良自身が組んだものがあり、紐も決定打が出ない。 「色の組み合わせならこう…、こちらはこう…」 「あっ、この水色のっ！俺好き！」 「こっちの淡い桜色もいいぞ」 「この刺繍のも…！」 色合いや組み合わせは申し分ない。 思い入れのある布や紐だから、余計に難しいのだ。