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「うう…。絞りきれませぬう…」 候補に残ったのは、守弥に誂えた着物の端切ればかりだ。 「どれも思い入れのある布…。一つに絞るのは…」 「だよなあ…。一生懸命仕立ててたもんなぁ」 「でも、全部使うと凄い大きさになるぞ」 「「うう~ん」」 全員が腕組みをして唸っていると、お茶を運んできた式神も検分に混ざる。 「この地紋のある布は如何ですか?」 「いや、まてまて。この浅黄色も捨てがたいぞ」 「目移りしてしまいまする…」 「それぞれを小さく切って繋いでパッチワークにするのもありだよ、さくら」 「………」 迷う咲良に、式神が一言呟いた。 「目に見えるから迷うのではないのですか?」 「………っ」 「恋慕う方へ誂えた衣服に思い入れがあるのは至極当然の事。 ならば、目をギュウッと瞑ってみるのも良いのでは」 「………っ!」 確かにそうだ。 いとおしいと思う相手に誂えた衣服の端切れに、思い入れがないほうがおかしい。 なるほどとうなずき、咲良とばあ様は目を見合わせた。 「そうだねぇ。 見えない状態で触ってみて、ビビっとくるものがあれば…」 「わたくし、試してみとうございます」 きっちりと目隠しをしての布選びが始まった。

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