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ひと針ひと針丁寧に縫い、糸を切る。
裏地をつけた袋を裏返して、咲良は形を整えた。
「……出来ました」
「「おお…っ!」」
「紐を通して……、キュッとして…」
「「ふむふむ」」
「………これで、完成です」
「「おおお…!」」
目を輝かせる付喪神たち。
「対の石を入れて見せてくれよ」
「うんうん!」
「見たい!石が入ったとこ!」
「はい…っ」
紗に包んでいた石を掌に乗せると、付喪神だけでなく式神も溜め息をこぼす。
「すんげぇ…。あわーく光ってる」
「綺麗ですねぇ…」
「本物の桜の花より綺麗だ」
守弥から貰った石は、昨夜よりも淡く染まっている。
ほんのりあかりが灯ったようで、見ているだけで頬が熱くなってしまいそうだ。
「なんかさ」
「うん」
「見ててドキドキする」
「いつもは無口だけど、あいつがどれだけ想ってるか丸わかりだもんな」
「咲良みたいだ」
「うん」
「咲良そのものだよな~」
「「愛されてるよな~」」
「ふええっ!?」
付喪神や式神、ばあ様までがにまにましている。
顔だけでなく全身が熱くなっていっている気がして、咲良は俯くしかない。
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