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◆◇◆◇◆
昼過ぎ。
外宮から戻った守弥に、二人の部屋で出来上がった袋を見せてみた。
「穴をあけて加工しても大丈夫なんだが…」
「おばあ様にもそう言われましたが、わたくしには…」
大事な物だから、そのようなことは出来ない。
愛しいと思う人から渡されたからこそ、咲良はお守りのように胸元に忍ばせることを選んだ。
「分かってる。
でも、いつかは目に見える形で身につけてくれたら嬉しい」
「は、はい…っ」
甘噛みした首筋に残る印と対の石は、鬼の独占欲の証。
咲良が守弥を恋慕うように、守弥も咲良を独占したくて仕方ない。
それは、日々強くなってきている。
「あ、あの…、守弥さま…?」
「ん?」
「何でも…ありませぬ…」
宮での仕事中は堪えているが、こうして寛ぐときに守弥は独占欲を発揮するようになった。
壁に背中をつけて胡座をかき、膝の上に咲良を座らせるのだ。
小さな子供を座らせるようにしたり、向かい合わせだったりするが、両腕で包み込むように抱き込む。
二人きりのときには、額と額を合わせたり耳殻をハムハムと優しく噛んだりもする。
「いっそ…」
「ん?」
いっそ、誕生日を待たずとも、今すぐに咲良の全てを守弥に奪ってほしいとさえ思ってしまう…。
『はしたないと思われてしまうでしょうか…』
対の石が入った袋をキュッと握り、咲良は甘い口づけを受け止めた。
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