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しばらくして、付喪神達が姿を現した。
寄り添って眠る二人に、ほうと息をこぼす。
「あらららら…。
仲良く寝んねこして、かんわいいこと…」
「ほんとだ」
「疲れてたもんな、さくら」
「うん」
「自分の狩衣でくるんでからギュウギュウしちゃうあたり、守弥も心配だったんだべなぁ」
「やきもきしてたもんなぁ」
祭りの準備も舞いの練習にも手を抜かない咲良に、守弥は気を揉んでいた。
何かに追いたてられるように舞いの練習をしていて、付喪神も式神も心配になり、日に何度も注意したくらいだ。
「自分でも訳が分からないけど頑張らなきゃいけない、頑張らなきゃ駄目な気がするって言ってた」
「頑張りすぎて疲れてるのに、まだまだ頑張ろうとしてたもんなぁ」
「寝てるとな、体温下がるからなぁ。
なんかかけてやんねぇと」
衣紋掛けのものや守弥が床に放った袿を拾い上げ、付喪神たちが二人にかけてやる。
「夕飯まで、ゆっくり寝かせてやろうぜ」
「んだんだ」
「明日っからは外宮にいることが増えるべし、少しでも休ませてやるべぇ」
「んだんだ」
すよすよ眠る二人の様子を確認し、そうっと部屋を出る。
「ちゃんと昼寝してるって、ばあ様に教えてやるべよ」
「うん」
「………なんかさ、」
「うん」
「変に頑張るようになったのってさ…」
「時々見えるアレのせいかな…」
「……それも、ばあ様に聞いてみようぜ」
「うん」
心の内に重いものを抱えたまま、付喪神たちはばあ様のもとへ向かった。
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