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「………?」 深い深い眠り明けの目覚め。 重だるい感じが少し引いたような気がする。 「目が覚めたか?」 「………っ」 「夕飯まで、まだもう少し寝ろ」 「う……」 身動ぎしようにも、袿の下でぐるぐる巻きにされていて動けそうにない。 「うう…。簀巻きにされてしまうとは…」 「無茶をするからな。今だけ我慢しとけ」 「…っ、………」 袿の隙間から見えたのは、狩衣だ。 シーツや毛布ではなく守弥の狩衣で巻かれているなら、それはそれで良いのかもしれない。 もがくのをやめて、おとなしくする。 「此方に来た時も、似たような事をしたな」 「………そういえば…」 姉の身代わりで生け贄になりに来たのに、花嫁として迎えられた。 縁談を壊してしまって申し訳ない、守弥の両親に詫びに行かねばとごねる咲良の巫女服を押さえつけて寝かせたのだ。 「わたくしは、あのときと変わりませぬ…」 「そんなことがあるか。 ばあ様の代わりに神事をこなすし、ここで無くてはならない存在になった」 「でも…」 「俺にとっても、唯一無二。 かけがえのない存在になってる」 「………」 「俺だけの対の姫だからな」 「う………」 「もう少しだけ、寝とけ」 「はい…っ」 額に額が重なる。 こんな風にされるのは少しくすぐったい気もするが、唯一無二だと言って甘やかされるのは嬉しい。 守弥の腕の中で、咲良は甘やかな時間に浸ったのだった。

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