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ニッコリ笑って、抱き締めてもらったあと…。 狩衣を纏った守弥に、咲良は言葉を失った。 平素の守弥も凛々しいのだが、角をつけて鬼の姿になると一層凛々しくなる。 満月を背にして桜吹雪の中に立っていた姿を思い出し、咲良は胸がギュウギュウするのを止められない。 「はっ、反則でございまする…。 こんな、……っ、はうう…」 自分の姿がどうとか悩んでいた事すら忘れてしまいそうになる。 そんな咲良の髪を一筋手に取り、守弥が微笑む。 「驚いたな。 隠し玉がいくつあるんだ?」 「ふえ…?」 「半年後が楽しみだ」 「………?………っ、………っ!………っ!」 ボッフウ! 顔から蒸気が噴き出してしまいそうで。 半年後…、咲良の誕生日に籍を入れると守弥は言っていた。 簡単な式をする、とも…。 「え、あ、はわ…っ」 「誰もお前をくねくねしてるとか思わないし、色合いがおかしいとか思わない。大丈夫だ、安心しろ」 「にあ…っ」 額と額を合わせて目を細める。 「分家の奴等が何か余計なことを言ったら、ちゃんとキッチリどつき回してやる。 お前は俺の大事な対だからな。何も心配いらない」 「守弥さま…?」 「不安がひとつもないくらいに練習したんだ。 俺たちの舞いで黙らせてやればいい」 「………は、はいっ」 「じゃ、いこうか」 舞台への幕が引かれる。 「おばあ様、いって参ります」 「ん。思う存分舞っておいで」 「はいっ」 守弥に手を引かれ、咲良は舞台へ踏み出した。

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