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「さくら…」 「おばあ様…どうして…っ」 「………っ」 「掟なのはわかりまする…っ、でも…っ、でも…っ」 ばあ様を責めても何も変わらない。 それは分かっている。 分かっていてもなお、言ってしまうのはただの我が儘だ。 「おばあ様、お許しください」 「………?」 懐に入れていた札をばあ様の額に貼って時間を止め、守弥と自分だけの磁場を構築していく。 石化の術は人ならざるものが拠り所だ。 一旦始まったら止められない。 「1ヶ月…っ、せめて20日あったなら…!」 それだけの時間があれば家族に用意したように守弥にも万全の苻を用意したろうに…。 いや、出来る。 「これを…」 守弥がくれた対の石。 それを素にすれば…。 だが、確証がない。 「確証がないことは、考慮すべきではない。 それに、」 大事な石を身代わり童子の素にはしたくはない…。 だからこそ。 封じ込める素にするのは、ひとつだけ。 涙が一粒こぼれ落ちる。 きっと守弥は自分を責めてしまうかもしれない。 でも、みすみす石にしてしまいたくない。 初めて恋をした。 すべてを捧げたいと思えた。 身も心も、魂も、全部…。全部全部いとおしいもの…。 「お別れに…、お別れにございまする、守弥さま…」

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