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胸元にある守弥の対の石を両手で包み、冷たい床に横たわる。
ふわふわ…。
ひらひら…。
視界が次第に霞んでいくのを感じながら、咲良は舞い落ちる花びらを見つめていた。
「………っ、……ら、……さ…!」
「………!?」
花吹雪の向こうで、微かに誰かの声がする。
「………さ…く…!さく…!どこだ…!」
聞きなれた、愛しい声。
どうして分かったのだろう。
咲良がここにいるのだと。
でも、もう、応えるだけの体力がもうない…。
「咲良!」
好き。
「咲良!何処だ!」
大好き。
好きで好きで、堪らなくて。
「咲良!返事をしろ!」
身も心も、魂も、自分の存在全てで恋をした。
愛しい。
愛しいひと。
「もり…や…さま…」
ようやく絞り出した声。
「咲良!」
花吹雪の中を駆けてくるのは、間違いなく守弥。
『嬉しい…。
わたくしはきっと、このために生まれてきたのですね…』
ビキビキと、体内が石化していく感覚がある。
怖い。
けれど、不思議に怖さが薄れていく。
命が消える瞬間に、大好きな守弥を見ていられるのだから…。
『さようなら、守弥さま…。
永久(とわ)にお慕い申し上げておりまする…』
体の左側に散る黒い痣が仄かに光り、肌から舞い上がる。
舞い上がり、宙に舞い、シュルリと大気に解けた。
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