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「おはよう、ばあ様」
「おはよう、守弥」
顔を洗い、身支度を済ませて朝食をとる。
今日の段取りを話しながら、時間をかけて食べる。
「今日も誰かが傍にいるのかい…?」
「ああ。屏風覗きが」
「そうかい…。
……………守弥、話があるんだけどね…」
「諦めるのは無しだぞ、ばあ様」
「………」
散々言われた。
分家の大人たちに、時期惣領と認める代わりに咲良を諦めろと。
然るべき筋の娘と婚儀をしたらどうだ、と。
守弥にはただ一人しかいらない。
それはもう、譲れないことだ。
「ばばは諦めろなんて言わないよ。
ただね、足腰が弱って禁域まで行けないから、さくらをこっちに連れて来れないかと思ったのさ」
「…………いいのか?」
「誰もが石の試練の事を知ったいま、隠しだてする必要もないからねぇ…。
通いもあれだし、ばばも安心できるから、こっちに連れておいで」
足腰がと言うが、神職の衣装や飾りをつけた状態でスキップしたり、守弥の弟妹たちを担いで参道の階段をヒョイヒョイと駆け上がる位はしっかりしていた筈だが…。
守弥が思い詰める性質があるから、気がかりなのだろう。
「………ありがとう、ばあ様…」
「善は急げだよ。早速連れておいで」
「ああ」
言葉に甘えて、連れて来ることにした。
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