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「とりあえず、一時的にバラすか」
寝台を収納できるサイズに解体し、納戸に仕舞う。
咲良を本宮に連れてくると聞き、付喪神も解体を手伝ってくれた。
軽く掃除をし、堂へ向かう。
「なあ、石になるってことは、さくらは重たいのか?」
「どうだろうな…」
そういえば、持ち上げた事がない。
「重たいなら、お前だけじゃ無理だな」
「そんなら、俺たちの出番じゃの」
「んだんだ」
「みんなで連れてくべ」
この1ヶ月、守弥だけでなく付喪神も咲良に寄り添っていた。
一人きりにするのは忍びないし、賑やかな場所に連れていけるなら嬉しい。
堂への道も、足取りが軽くなる。
「あれ?もう昼か?」
「違う違う」
「本宮に連れてくんだ」
「本宮に!?うひょ!」
追いかけてきた猫又も跳び跳ねる。
聞き付けた式神もついてきた。
「ありり?帰るの早いな」
「咲良を宮に連れてくことになってな」
「うっひょー!」
堂の中に入り、咲良をそうっと持ち上げてみる。
「……………?」
「どうだ?」
「重いか?」
「俺たちの出番は?」
足元できゃわきゃわする付喪神。
「……………軽い。
普通の時と同じみたいだ」
「なんだ、軽いかぁ…」
「わしらの出番がないのう」
「そうだのぅ」
「やっぱり、亭主の特権だの」
「代わりに、布団を運んでやるべ」
「おいらも!」
「おらも手伝う!」
「おいらも!!」
簡単な引っ越し作業が始まった。
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