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本宮に咲良を連れてくる。
それを聞いた式神達も、堂への道へ走った。
「咲良!おかえり」
「咲良どの、お帰りなさい」
「お帰りなさい!」
普段はあまり感情を出さない式神達も、ほろほろ涙をこぼす。
一緒に過ごしたのは半年あまりだが、彼らにとっても無くてはならない存在になっていたのだ。
「主さまが迎えに言っておいでと」
「そうか」
勝手口に着くと、社務所から神職たちも駆けつけた。
「咲良さん、お帰りなさい!」
「やっぱり、咲良さんがいないとね!」
「良かった…!良かったですよ…!」
泣き笑いで出迎えてくれた。
「お前の事を、皆が迎えてくれてる。
わかるか…?」
靴を脱いで板間に上がる。
咲良を一旦床に置いたが、誰も手を出さない。
「………いいのか?」
「そりゃ、運びたいけどさ」
「我慢する」
「咲良は優しいから許してくれるだろうけど」
「やっぱり、亭主に運んでもらうのが一番嬉しいだろ?」
「そうか…。すまんな」
「そんかわし、お前が仕事に行ってる間は、いっぱい話しかけるもんな!」
「んだんだ!」
「お茶っこ持ってくべ」
「お菓子も持ってくべ!」
「んだんだ!」
囲炉裏のある居間へ向かう守弥に、付喪神や式神、神職までが付き添った。
「おやおや。
賑やかに帰って来たねぇ。
さくら、おかえり」
ばあ様も、泣き笑いで迎えてくれた。
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