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空間をペロッと捲って現れたのは宮司。 予想だにしなかった登場に、守弥はあんぐりとするしかない。 「あっ、なっ、なんっで…?」 べちっ! 「いてっ!」 どうやって渡ってきたんだと聞こうとしたが、再び扇子で額を打たれた。 「なんで渡れたのかだの、どうやって入ってきたかだのどうでも良いのでは? 石になった咲良さんを元に戻すのが先決でしょうに」 「………!?」 何故だ。 界の向こうにいたのに、何故咲良が石になったと気づいたのだろう。 「おばば様、咲良さんは何処です?」 「居間にいるよ」 「嘆きの堂ではなく? ふむ…、まずはそちらに行きましょうか」 「あっ、ちょ…」 「大丈夫だよ、守弥。あれは身内だからね」 「は………?」 ずかずかと居間へ向かう宮司とばあ様を交互に見て、守弥は戸惑う。 「身内って、……あの宮司が?」 「そう。聞いた事がないかい? 一人だけ消息不明のばばの孫のことを」 「ばあ様の…孫………、………父さんの…弟?」 「そう。守弥が生まれてまもなく、ある日突然いなくなったんだよ…」 「……………」 20年以上前に行方不明になり、咲良の世界で宮司になっていたという叔父。 その人が何故、いま…。 聞きたいことは色々あるが、守弥は宮司の後を追った。

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