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「何故、だい…?」
ばあ様は自分の声が遠いような気がして、確かめながら問う。
「いつ気がついて…」
「義姉さんが三人目の子……そこにいる護矢比古の生まれ変わりを宿した時ですかねぇ」
「………」
「唐突に魂が共鳴りをしたのですよ。
そのときは断片的な記憶でしたが、少しずつ過去の罪状を思い出すにつけ、ここにいることは出来ないと思うようになりました。
境界の薄いところを裂いて違う世界に行って、心を落ち着かせればいい。
そうやって逃げた先の神社に、あの子が預けられてきましてね…」
あの子とは、咲良のことなのだろう。
ばあ様も守弥も、宮司の言葉を待つ。
「多分ですが、咲良さんが背負った呪いの余波を受けての疾患でしょうね。
姉の方は胎児のころに重篤な心疾患があると言われていた。
でも、生まれた時には健康そのもの。
代わりに、共に生まれたあの子はとても小さな小さな姿でした。
なんとなく、理由は分かりますね?」
「咲耶の病気を引き受けたってことか…」
「ええ。
無事に生まれることは難しいだろうと言われた重篤な疾患を引き受けたことで、魂の核の浄化の最終段階に入ったんですよ…」
「「……………」」
「護矢比古を助けるのを交換条件にして妻にしたものの、香久良の心は結局手に入らなかった。
それもそうです。呪いをかけた張本人だと薄々気づいていたでしょうし…。
そして、永い間深い闇を抱えて転生をせねばならなかった香久良の魂は、限界に来ていました。
まさか、その咲良さんが贄として身代わりを引き受けるとはね……」
「「……………」」
如何様に呪いを打ち消そうかと手をこまねいている間に、事態は一気に転がったのだと宮司は苦笑した。
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