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過去の改変はご法度。
香久良から咲良への流れを遡るのみだ。
輪廻の輪というのはもっとごちゃごちゃしたものかと思っていたが、花びらや蛍のようなものが漂っているように見える。
「輪廻の輪は、こんなふうに綺麗なのか?」
『…………主さまは、人それぞれだと仰っております』
「次元が違っても会話できるのか?」
『はい。言葉が頭の中に響く感じですが…』
「そうか…」
『守弥様が語りかけて来ても、ちゃんと返事をするとのことです』
「そうか…、ありがたい」
遠い遠い過去に何があって袂を分かったのか、仲違いに発展したかは分からない。
護矢比古に呪いをかけたのは、嫉妬によるものだと言っていた。
だが、自分が護矢比古とシンクロした時に見えたのは、一族の者だけでなく里の民にも慕われる惣領息子の夜刀比古だ。
「そんなに、呪いを作り出す程の闇を抱えていたように見えなかったんだが…」
『心の闇を見透かすなど、簡単にはいきませんよ。
ましてや、比古であった頃のあなたは竹を割ったような性格でしたし、夜刀比古を兄として慕っていた。
そのまっすぐな心持ちが、密かに想っていた香久良の心をも掴んでしまった……。
立場も恋も脅かされていく現実に付いていけなかったのですよ。
それだけ、過去の私の心は弱く、脆く、闇に墜ちやすいものであっただけのこと』
「夜刀比古…」
頭の中に響く声には、深い後悔の念が感じられる。
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