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輪廻の輪は、守弥が想像していたものと少し違っていた。 淡い色の光や、仄かに明滅する灯り、また、キラキラと光る小さな星のようなものが遥か高いところへ向かって螺旋を描いているように見える。 『これは、香久良さんから咲良さんまでの流れです』 「俺のは別の場所にあるのか?」 『いえ。 此処には、守弥さんのも主さまのもあります。 今は香久良さんのものしか見えませんが、守弥さんや主さま、香久夜さんのも複雑に絡み合うようになっているようです』 「そうか…」 自分のものも、宮司のものもある。 だが、見えないだけらしい。 『試しに、目の前の淡く明滅しているものを触ってみてください』 「お、おう」 示されるままに触れる。 しゃあん…。 鈴のような音がして、遠い昔に見たような景色が目の前に広がった。 「これは…っ」 生まれたばかりの赤子ふたり。 横たわるのは、出産したばかりの母親だろうか。 「まさか、二人生まれるとは…」 困惑しているのは、付き添いの老婆たちだ。 「どちらも無事に生まれたのは良いことだけど、ひとりはここには置いておけない」 「ひとりは長の家に嫁ぐけど、もう一人となれば争いの元になってしまうからね…」 「里の社に預けて、奥の奥の禁域で育てねば…」 「どうしても預けねばなりませんか? わたしが傍に置きたいと言っても、かなわぬことなのですか?」 「人は一人で生まれてくるもの。 獣のように二人で宿った子らは、お互いの運や良いことを羨んだり妬んだりする」 「それは、誰しもがすること…。 そのような理由で手放せと言われても…」 涙を滲ませた瞳で、母親は老婆たちを見た。

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