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第3話

 上半身だけ犬塚に覆い被さるようにベッドに引きずり込まれ、そのまま夢中でキスをした。  時々目を開けてキスをしている犬塚の顔を見ると、どこからどう見ても自分と同じ男なのにかわいく見える。  少し今の体勢がきつくなってきたため、体をスライドさせて犬塚の横へ並ぶように寝そべる。すると俺の勃ち上がったそれが何か濡れたものに当たり、ひんやりとした。  当たった先を見ると、犬塚の同じく勃ち上がったものの先端で、透明な先走りがとろりと垂れていた。  寝そべる犬塚の全身を見る。どう見ても男の体だ。なのに、今まで寝た女より、興奮した。  俺は犬塚の平らな胸に付いている乳首に目をやった。乳首自体はそんなに大きくないが、乳輪部分がぷっくりとしている。  その乳首に乳輪ごと吸い付くと、犬塚のからだがピクンと跳ねる。犬塚のもう片方の乳首を、親指と人差し指でくにくにと押し潰すと犬塚が俺の頭を軽く抱き抱えてきた。 「黒崎ぃ……ちくび、それ、きもちい」  頭の上で、犬塚の熱っぽい声が落とされた。  それならもっとしてやろうと、俺はちゅぱ、ちゅぱ、と音を立てて犬塚の乳首を吸い上げた。  太ももにポタポタと落ちてくる水滴は、犬塚の先走りだろうか。  犬塚の乳首から唇を離し、先走りで濡れた犬塚の陰茎に手を伸ばす。上下に扱けば濡れた音が部屋に響く。動かしていた手を犬塚の手が制止させる。 「なんだよ」 「……黒崎の、舐めさせてよ」  犬塚が起き上がり俺の足の間に潜り込むと、勃ち上がった俺のものを左手で持ち上げながら咥えた。  犬塚の熱い口の中で、俺の雁首の裏に舌がぬるりと当たって気持ちいい。強く吸い付かれるとなおさらだ。 「黒崎、気持ちいい?」  俺のものから口を離して犬塚が尋ねてくる。 「ああ、気持ちいい」 「そろそろさ、俺の中に、これ、いれてくれよ」  楽しそうに細められた目。半開きの唇から覗く赤い舌。その舌が俺のを舐めていたと思うと、厭らしく感じる。 「ああ」  俺は犬塚を引き離すと、机の引き出しからコンドームの箱を取り出した。  だが、そうだった。ローションがない。  とりあえず、コンドームを持ってベッドへ戻ると、犬塚は自分の通学鞄を漁っていた。 「あった。はい、これ」  犬塚にコンドームの袋2つ分ほどの大きさのパウチを渡された。 「なんだよ、これ」 「どうせローション持ってないだろ? これ使えよ」 「何でこんなの持ってんだよ」 「そりゃ、ヤりたいときにすぐヤりたいし?」  そういうもんなのか。確かに、ご近所さんにセフレがいるくらいだ。犬塚にはその人以外にもセフレがいるのだろう。  犬塚に、こうしろああしろとレクチャーされる。そんな自分をダサいと感じるが、勝手にヤって下手なことをしてしまう方がもっとダサいだろう。  俺へのレクチャーを終えた犬塚が足を広げて足を持ち上げる。  言われた通りにパウチの口を小さく開けて、とろりと犬塚の尻の穴へ垂らし人差し指でくるくると馴染ませる。人差し指にローションを追加して垂らし、窄まった部分へゆっくりと人差し指を押し込めば、簡単に入り込む。  指の腹を上に第二関節まで入れ、クイ、と指を曲げる。犬塚の口から小さく吐息が漏れる。 「もっと……んんっ」  指の腹で強くならないように引っ掻く。指を抜いて中指にもローションを垂らし、指を二本に増やした。同じように三本と指を増やしたところで指を引き抜く。ついさっきまできゅっと窄まっていた穴はぽっかりと開いていた。 「そろそろ、入れて大丈夫」  犬塚に促され、俺は自分の勃ったものにコンドームを被せる。パウチの中に残ったローションを犬塚の開いた尻の穴と、コンドームの上に垂らした。 「……入れるぞ」  犬塚の尻の穴に先端をあてがい、腰を進める。詰まったような抵抗ははじめだけで、あとは誘い込まれるようにズブズブと飲み込まれていった。 「ん……、あっ」  最初は息が詰まったようだった犬塚の浅い呼吸が、すべて収まりきる頃には気持ち良さそうな喘ぎへと変わっていた。  犬塚のナカはあたたかく柔らかで、ぬかるんでいるのにぎゅうぎゅうと俺のものを締め付けている。このまま動けばすぐにイッてしまうだろう。気を紛らせるため、俺は犬塚を抱き締めた。 「動いていいのに」  犬塚も俺の背中に腕を回しながら言った。 「今動いたら、俺がヤバい」  そう言うと、小さく犬塚が笑った。しばらくの間は密着したまま、互いの鼓動だけで対話をしているようだった。そうしてほんの数秒密着したままでいると、強く包み込まれる犬塚の中に慣れていく。そうすると途端に突き動かしたい衝動に刈られる。 「動くぞ」  そう宣言して、腰を引いて雁首のギリギリまで引き抜いたところでまた押し進める。  ゆっくり、ゆっくり。でも、犬塚の熱く締め付ける中にもっと深く繋がりたくて、夢中になって腰を動かした。  犬塚、と声を出して名前を呼んでいるつもりだが、実際はフーフーと荒い呼吸しかしていない。  もっと深く、もっと深く犬塚と繋がりたい欲求が溢れ出る。俺は犬塚の腰を掴み、さらに奥へと腰を進めた。  犬塚の中に埋め込まれた先端がある一点を通過したとき、下にいる犬塚の体温が上がったのを感じた。俺の腰付近にあった犬塚の脚が俺の腰に緩く回された。 「黒崎、あっ……そこ、俺のイイところだから、覚えて」  言われるままに『犬塚のイイところ』を俺の勃立したもので擦り上げる。 「ひあ……ッ、黒崎、くろさきぃ……」  俺の額から汗が伝い、犬塚の喉元に落ちた。腰を動かしつつ顔を上げ犬塚の顔を見ると、昨日、除き見たときにみた、犬塚のあの顔だった。 「あ、も……くろさ、ンンッ! あっも、そこばっか!」  窓ガラス越しでは感じられなかった、犬塚の赤くなった頬。汗ばんだ額。少し涙目で、眉を寄せて、半開きの濡れた唇からは喘ぎ声が漏れる。  唾を飲み込む音が大きく感じる。  もっと、犬塚の、この顔が見たい。

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