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手錠様とご対面

   こいつは人の表情を読むのに長け過ぎてて怖いくらいだ。ただ思い返せば俺って平三にしろ木下にしろ気持ちまで読まれてるぐらいだから顔に出易いのかもな。 「あぁ、そうだな……気持ち悪いと思ってるよ。正直ここまでとは……」 「はは、だって俺、へんたいなんだよ……智志くんのその言い方、すっごい、すき」  ぎゅうぎゅうに絡めてくる足はもう王司の下半身に当てられてるような気がして動くに動けなくなってる。  さっきから好き好きって、言い過ぎだボケ。いいか、俺はこういったものに直面したことがないんだ。どうイケばいいかも、わからないんだぞ?  しかも男同士……利点を言えば、気持ち良いところがわかるってことだろ。 「智志君、智志くん、なんかっ、なんかやって……?」 「チッ、そんなに足を絡めるな!さすがに転ぶ!」 「うんうん、さとしくん……」  ダメだ、こいつ聞いちゃいねぇ……。  うん、とか言いながらもっと絡めてくるってなんだよ。  タコか? イカか?  あいつらでもここまで来ないっつの!  あぁ、どうしよう。手っ取り早く王司に聞いた方がいいかもしれない。構って構ってとうるさく言うから、どう構えばいいのか……。  バランスを取るために王司の肩を掴んで一旦、絡みに絡みまくってる足を抜かす。 「あっ、智志くん待って!行かないでよ……!」 「行かねぇよクズ安心しろ。さっきからうるせぇな」 「あぅっ、智志くんッ、はぁはぁ……もっとぉ……っ」  汚い言葉に軽く、本当に軽く股間をつま先で蹴ってみれば俺の太ももに頬擦りしてきた王司。  これにも若干ドン引き。軽くでも蹴られたら痛いだろうに。 「ほら……ここか?なんでこんなので勃起すんだよ」 「うん、うん、そこっ……はっ、さとし、くっ……」  敏感なのか、それとも興奮してるせいなのか、どっちなのかわからないがピクンと体を震わせる王司。  絡んであった足はだらしなく伸ばしっぱなしでたまに反応があった時に曲げるぐらいだ。人のチンコを踏むなんて当たり前に経験した事がないから服の上からだとどこがどこなのかわからない。  ここが気持ち良いだろうとか、ここで動かせばもっと良いだろうとか。  初心者な俺からしたら今の時点でもう上級者コースまっしぐらなんだが……。 「んン、きもちッ、い、もっと強く、ぐにゅって、ぐにゅってして?んん……」 「ぐにゅって……」  勃たせてる奴がなに言ってんだ。  そう思いながらも王司の言う通り強めに、テント張ってる頂点よりも少しだけ足をずらして踏んでみる。するとよりいっそ息とともに声が出てて良いみたいだ。  踏んでる身としてはなかなかわからない心境。  王司に共感出来るものが一個もない……だって踏まれるとか……初っ端から共感出来るものがないから動きも鈍くなる。 「あ、アッ……いい、いいよ智志くんン……好き、ぃ……」 「すげぇな、お前……絶対に我慢汁出てるだろ」 「うん、出てる、パンツ……濡れちゃって、んはッぁ……!」  下着の状況を聞いて『まじかぁ……』と思いながら踏み位置を変えたら、また違う声になっててビビった。  なんだ、こいつのチンコを回すように踏めばいいのか……勃起したチンコを回すように……。やっぱ理解出来ないな……。  太ももに顔を押し付けるようにくっついてくるせいか、こいつのモノを踏んでるおかげで俺は片足で体を支えている。  体を動かす事がそこまで好きじゃない俺はバランス感覚があまりよくない。つまりは片足だけじゃいつか本当に倒れそうなんだ。  どこか掴みたいとは思うが、王司の頭なんて掴んだらなにか勘違いさせそうだよな……。 「王司、王司、顔を上げろ」 「ん、智志くん……?ふぁッ、」 「……そんなにいいか」  ズッ、と亀頭部分をつま先で器用に押し絡ませる。  イケメンは快感に浸っていてもおかしくうつらないんだな、と思いながら今の俺は無表情で王司を見ている。  不思議なもので、王司のせいなのか、困らなくなってきてる自分がいて嫌になる。 「踏むのはわかったが、」 「うぁ、さとッしく、ん……」 「蹴ったりしてもいいとか?」 「ふぁっ……!ぁッ、あ、んは……はぁはぁッ、イイ……」 「……イっちゃったのか」  俺の言葉に何度も頷く王司。  太ももにくっついていた顔も少しずつ離れていく。おぉ、満足したか?  よくわからないが、とりあえずイったもんな。これでおしまいだ。  顔を上げた王司の前髪をはらいながらよく目を見る。涙を溜めて、眉を垂らして、息も荒くなってる口の隙間から少しだけよだれが出ている。  汚いとは思わずそのよだれを親指で拭うと王司はそのまま俺の親指を口で咥えてきた。 「気持ち良かったか?」 「ん、うん、」  ぴちゅ、といやらしい音を立てながら指を舐めてくる。  舌の動きが俺でもわかるぐらいエロくて、こっちまでおかしな気持ちになりそうだ。そうなる前に、と咥えられてる指を抜いて意味なくも喉仏にピシッとデコピン。  会長より数倍弱いものだから痛さもなにもなかっただろう。つーか王司には足りないぐらいのものだ。  今度こそこの部屋から出て行こう。  そう思っていた。 「ふふっ、俺、次は直接踏まれたい……」  が、スイッチの入った王司はそう簡単には逃してくれないらしい。  

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