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手錠様とご対面
「はぁ?もういいだろ……」
「智志君、智志くんもっと、直接踏まれたいし、さとしくんのモノ舐めたい……」
「……」
正直言って俺は完全燃焼だ。踏むだけでも結構ヤバいんだぞ。
理解出来ないせいで変に気を遣うし、俺にはまだ“おもいきり”の気持ちがないためセーブしてる加減より弱くやってしまう。
だけど、そうなると王司からしたらもどかしいだろうし……。というか、俺の舐めたいとか……。
「ね、おねがい智志くん、このまま終わりは嫌だ」
「……」
考える。
「踏まれながらしゃぶりたい……さとしくんの、のみたい」
「……」
考えてる。
「智志くん、あのね、俺のあたま掴んで、それから腰を激しく動かしてみ?すっごい気持ち良いよ、ね?俺も気持ち良ければ、さとしくんも気持ち良いよ」
「……」
考えた。
「っ、さとしくん……」
「……知らないぞ、口のナカにぶちまけても」
俺が王司の部屋着に手を伸ばした瞬間、察したらしく期待に満ちた目を見開き嬉しそうな笑みを浮かばせた。……情けない話、王司の地味ながらも強烈な説得に俺は揺らいでしまったのだ。
どの言葉で揺らいだかなんて俺にはわからない。
わからないが、言えるとしたら――俺も結局、欲情してたってことだ。男相手に、だとか、もう今さら過ぎて考えていなかった。
直接踏まれたい王司の要望も叶えるべく下着と一緒にスウェットをずらしていけば、そこに目が行く大きな――ではなく、
「あ?王司?なぁ、これって……」
「あ、やべ……」
王司の反応に容赦なく俺は前髪辺りを掴み、笑顔を作る。
「……おい、王司。てめぇなに人の“下着”はいてんだ?」
俺の下着が出て来たからだ。
出て来た?
いや、王司が穿いてて、一緒に脱がそうとしたらたまたま見えて、こうなった。
一瞬、正気に戻ったが……王司ならやりかねない。たぶんこの下着以外にも盗まれているだろう。
俺の部屋にあるタンスの、下着が入ってるスペースでたまに妙な隙間が開いていた時があるのを思い出して、諦める。
変態でドMってもうなんなんだ……いや、合ってるか。ドMは変態だし、変態はドMな一面を持っていてもおかしくない。
じゃあこいつは合ってる人間なのか……。
「まぁいい……もう王司に言ってもしょうがない……」
「んぁ、見捨てないで……?ごめんね、ちょっとだけって思って……あの、さとし――んぐッ」
「見捨てるとか見捨てないとか、そういう問題じゃないんだよ」
掴んでいた前髪を無理矢理引っ張って、ごちゃごちゃ言ってる王司の口に俺のモノを突っ込んどいた。
どうだ、王司。お前が望んでいたことってこれだろ?
なんだっけ、このまま動かせば気持ち良いんだっけ?
「ン゙んッ、うぁ……!はふっ、ん……」
「まぁ、ん……いいかも、な……はっ、」
もうこれは自棄だ。本当に今さら過ぎて悩む方がバカらしくなってきたと思ってる。引っ張った前髪を離して両手で王司の頭を掴み直し、腰を振って。
具合なんてわからずとにかく俺自身が気持ち良くなるためにそりゃもう大きく動かす。
あぁ、今きっと喉奥まで突っ込んだんだろうな……。
抜きかけてまた奥まで咥えられて、また抜きかけての繰り返し。王司の、直接踏んでほしい願いも叶えてやっている俺って実はめちゃくちゃ器用な人間なのかもしれない。
「はぅん……ん、うぅぅ……ッ」
「ちょ、やばっ、王司離せ、出る……!」
俺が動かしてるくせに王司の舌使いもたまらなくて、はやくもイキそうになる。
この間は不本意に王司の口のナカで出してしまったが今回はそうもいかないだろ……。ぶちまけるとは言ったが、そうそうに飲めるものではない。
慣れてない奴はもちろん、慣れてる奴だって、
「んん、んちゅ、んひの、なかッ……」
「はッ!?つかなんで奥のまんま……くっそ、離れろってのバカ野郎ッ!」
「うぁ……っ」
突然、喋り出して――なに言ってるかわからなかったが――それでいて口を離してくれず奥にモノを突っ込んだままだったせいで、さすがに本当にヤバいと危機的なサイレンが俺の中で鳴った瞬間、頭を掴んだまま腰を引いて口から咥えていたモノを王司からようやく離す事が出来た。
びゅ、と王司の首辺りに飛ぶ白い液。……口のナカよりは、マシだ。
「ァ、お、おれ、飲みたかった……」
「はぁ、はぁ、バカっ、言うな……ん、」
とか言って先っぽを舐めて来るからどう言ってもダメだろうよ……。
視線を足元にやれば俺のじゃないもう一つの液体がかかっている。射精したあとの頭はどう考えても冷静だ。
首から鎖骨にかけて垂れる俺の精液が、王司自ら買った赤い革製のチョーカーに染み込んでいってるような気がして。
一つ溜め息を吐いて、静かな雨音が耳に入ってきた時――やっと、ヤッてしまった事態に目眩がしそうだった。
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