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三日目の夜
* * *
ちなみに、一日中のベッド生活は、厳しいぞ。
〝手を出してきそうだったら最初は優しく、後から厳しく、そして避けてみろ。さらに好かれると思うが、そこは我慢だ〟
ご飯、トイレ、風呂。
この時以外、王司から離れようとするとハンパないほどの腕力で抱き締められる。
それがあまりにも苦しくて反射的に手を出してしまう俺なんだが、後半辺りで気が付いた。
こいつは殴られたいがために度を越した力を出しているんだ、と。
だいたい、最初は優しく後から厳しく、とは……。そして避けるってなんだ。
あいつみたいに頭が良いわけじゃないから伝わるものも伝わらないぞ?
もっとこう、具体的にさ?
「さとしくーん、こんなに一緒にいれるなんて夢みたいだよ」
グッと、今度は苦しくない程度で腹に腕を回してきた王司。
その隙に服の中に手を入れられたのが気に食わなくて勢いよく立ち上がった。
「お前さ、呆れるほど触り過ぎ。今日の夜は一切触るな。これ破ったらもう一生触るな」
ご飯も食べ終わってて、風呂にも入り終わってて、あとは寝るだけだ、とか一日中ゴロついてたから眠気が来なくて結構焦る。
明日は学校があるし、寝なかったら授業中に寝る可能性だってある。
そうなりゃいっきに昼夜逆転してツラい目を見るのはわかっているんだ。
それだけはしたくない。
「さとしくん……」
聞き間違いならそれでいい。
「どっちにすんだよ。我慢して未来を取るか?それとも今触るか?」
気持ちの昂りで出ている王司の甘い声で俺の名前を口にしている。
今日はずっとその声を聞いてたせいか、妙に耳についてなかなか離れない特徴のある声。
そして気付けよ、王司。
俺が“未来を取るか”と言ったんだ。……この先も、あると思え。
「が、まん、する……」
見上げる王司の喉仏が大きく上下に動いた。
よし……三日目の今日も安眠出来るし、なにげに単純な野郎でよかった。
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