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四日目の夜

     *   *   *  ベッドに入る前にくあ、と欠伸をしたのはいつもよりは寝れてないせいだ。  だが、初日にくらべたら寝れてる方なんだけどな。 〝お前が静かにしてればこんなにもくっつけるんだぞ、って態度を表せ〟 「智志君、腕枕してもいい?」  授業の最後の時間に体育でバスケをしたが休日のこの二日間で体が鈍りまくっていた。  普通の授業でもヘトヘトになって嫌になるというのに、こうも反動が来るとツラい。昼夜逆転よりツラいものがある。  そのせいか、いつもより眠く感じる。  丸三日間、同じスタイルで過ごせば体もそっちに慣れてきたんだろうが、毎晩毎晩20時過ぎにベッドに入ってるからか?  寝ていなくても横になるだけで体は調整していくんだな……。 「智志くん……?」 「……ん」  冗談なしで眠い。  王司が言った事に対して返事をしたいが、それすらも面倒だ。  そういや木下や平三が言ってたな……されるがままに、とか。今日はそれをやってみようか。  本当は俺自身が寝たいからこれを選択したとか、そうじゃないから。 「智志くん……」 「……」  囁くように呟く王司は構わず俺に腕枕をするため、首の下に腕を通してきた。  ぶっちゃけこの程度で騒いでいたら今までの俺はどうなってんだって話だ。だから別になにも反応しないし、王司の腕枕は気に入っていたりする。……いつまでもされてたらさすがにウザいけどな。 「さとしくん可愛いなぁ……」  眠りで意識が薄れるなかまだ喋り続ける王司。  言われあと頭に、ちゅっと軽いキスをされたがそれも気にせず、俺は本格的に落ちそうになった――その時。 「ふふっ……バスケで疲れちゃったんだね?智志くん、ゆっくり寝てね」 「……」  王司に全部バレてるじゃねーか……。 「おやすみ、智志君」  だが、なにも言わないし反応しない俺に王司は昨日よりもさらに体を密着させてきて、おとなしくなっていた。  そこで、わかった事がひとつ。  先生、助手さん……もしかしたら俺が暴れて抵抗するからこいつはしつこく苛立つぐらいくっついてくるのかもしれない……。  その証拠に、今の俺は睡魔に負けて抵抗しないままだと王司はおとなしく、俺も居心地が良いと思える抱き着き方をしてくる、と……。  え、原因って俺?  最後の最後に頭を動かして考えた結果が、これだ。  今夜もぐっすり寝れるから、いいんだけどさ……。  

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