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本性

  「おうっ、じ……!な、んッ」  抵抗とともに心のなかで暴れていると急に、だけどゆっくりと王司は入ってる指を出し入れし始めた。  それにより舌の出し入れとはまた違う刺激がやってきて猛烈に今、足を閉じたくてしょうがない。 「いっぱい怒っていいよ?あとでいっぱい怒ってもいいから……ねぇ智志くんヤろ?痛くしない……頑張るから、ね?」 「……っ」  なんか王司が言ってるけども! 「滑りが大事なんだよ?でもこっちだけじゃツラいもんね。だからちゃんと智志くんの、おちんちんも扱くよ」 「やめ、ッ……!」  わかるのは指を挿れられた時に押し来る感じと抜かれそうになる瞬間。  そっちに集中し過ぎて俺のモノを握った王司の手を掴む。 「はっ、おうじ、てめぇ……」 「……さとしくん」 「ンっ……」  チュッ、と可愛らしいキスをされ、数秒後には舌を絡ませられた。  どんなタイミングだ……いや、あってるか?  こいつに全部任せたら確実に流れる。  流されたら、なにかが、なくなる……。というかこいつ、ハッキリと『ヤろ?』とか言ってたっけ?  じょーだん……きっついなぁ……。 「んぁぁ、ふッ……ぁ、ん」 「さとしくん、智志くんっ……ね、気持ちイイ?」  あぁ、キスが異常に気持ちイイと思えるぐらい下半身が違和感だらけだ。 「二本目、入ってるのわかる?」  いつの間にか増えてやがる。 「はっ、ん、おー……じ、」  ちゅぱ、とイヤらしい音に透明な糸が出来てて、それが俺を煽らせる。 「ん、智志くん、痛い?」  最後には吸い取るかのように顎まで伝ったよだれを舌で舐める王司。  その言葉を聞いて思わず首を小さく横に振った。  違和感があっても、痛みはない。これは本当だ。もう頭を回すのが苦になるぐらいは、ツラいが。 「ねッ、さとしくん……三本目、入ってるよ?エッチって、こんな感じなんだ……これなら、ヤれそうでしょ?」  言った瞬間に気付いた指の本数。  ゆっくりとバラバラに動かされて短い声をおさえるので必死。 「んぁ、あッ……!ばか……っんな、動かす、とか、あっ――ひゃッ!」  瞬間、ここまで来てやっと出てきた、恥。  今までに出した事もないような声。  なんだ、なんだ今の声は……王司ですら聞いたことねぇぞ?  思わず口を塞いだ手は、さっきまで王司の手を掴んでいたもの。 「ん、んッ、うぅ……!」  止まらない王司の指は集中的に責められてる部分があった。そこに掠ると体が反応してビクッとなる。  あびたこともないのに、つい表現してしまうとしたら、電気が流れてきたかのような跳ね方、というだろう。  広げられてる感覚がすごくわかる。王司の必死さにも笑えるが、俺の必死さも実に笑えるようなものだ。抵抗しようにも、もう出来ないから。  面白いぐらい吐く息とともに漏れる声は甲高くて、時に声が出ないようなものも“声”として扱い、息が出来なくなるんじゃないかという恐れ。 「おーっ、じ……んンッ……!」 「塞がないでよ、智志くん。智志くんの見つけたよっ……ここね、」  そう言ってまたナカに入ってる指達がソコの部分を触れるとおかしなほどの叫びに近い声をあげてしまう。 「前立腺っていってね、さとしくんの気持ちイイところなんだよ」 「あぅッ、んん……ふぁっ、も、もーいいッ、から……!いい、からっ」  もう触れるな、という意味で首を振る。  そんなに刺激を与えられたら俺がどうにかなってしまいそうだ。 「おーじ……おうじ、わかったから……ん、そんな――ッ」  前立腺の刺激と、チンコを扱かれるせいでイキそうになるのを感じた。  マジでヤバい……もともとヤバかった状況だが、この場合はその倍で、やばいだろ。“ケツの穴”とチンコでイクとか……射精出来ちゃうとか……! 「んァ……!王司っ、おーじ、やべぇって……!あぁ……ッ!」 「イっちゃう?」  王司の問いに俺は何度も頷いて、扱かされてる王司の手に爪を立てて食い込むぐらい掴むほど限界だった。  いや、もうムリ。 「……ッ、ぁ――ハァ、ハァ……」 「さとしくん……イイ感じだよね?」 「はぁ……あ、おーじ……」  声も出ないようなイキ方が初めてで、余韻に浸るみたいにまだゆっくりと動かす王司の手が良くて、俺の声は甘ったるくなり、王司の首に腕を通して、引き寄せた。 「はぁぁぁ……なんだ、これ……」 「智志くん、好き……」  離された手に抜かれた指。唇は俺の目元に、チュッとリップ音を立たせてキスをしてきた。  王司の勃っているモノが当たってることを気付かぬフリして終われば――と。ここまで考えて、止めた。  変態ドMでも、ここまでくれば俺も裏切らないとわかっているだろう。  

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