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勢いの本心
さっきまで王司を褒めていた自分を殴りたくなってきた……頭が回っていそうで回っていなかった王司を殴ったあとに俺自身も殴りてぇ……くそ痛い。
噛んでるのも忘れず、むしろさっきの噛みより強くなっているから痕が残ってもおかしくない。……まぁ、王司はそれすらも喜ぶんだろうけど。
「はッ、アぁ……はぁ、はあ、おまッえ……!ほんとにっ」
「さ、さとしくんッ、んん、ごめんね……?俺、嬉しくてっ、つい、ぁ、ごめん……」
王司の全てが挿入ったのが、わかった。
最初の一気と最後の一気がこんなにも違うと思わなくて、だけど挿れた後、動かずに謝り続ける王司の手を口から離し、なんとか息を整えてみる。
「はぁ……バカか、てめぇは本物のバカか……」
「うぅ、智志くん……っ」
「いいか、そのまま動くなよ……俺の痛みが和らぐまで1ミリも動くな」
そう言うと王司は頷いてジッとしていた。
さて……挿入ってしまった今、俺の感想を言おう。――頑張った……。
どっちが頑張ったとかではない。全部をひっくるめて、そう思ったことだ。
肩で息するかのように荒れていたのもだんだんと落ち着きを取り戻せて、でもやっぱり思うのは“平三ってすげぇのな”ってことで、まだ完全に終わっていない行為に木下から読ませてもらった漫画や小説を思い出す。
男女のセックスにしても、この世界のセックスにしても、突き上げられて最後までイき、そこで終わる……。
俺の痛み……大丈夫か?
耐えられるか?
なんで理性をぶっ飛ばして本能と闘わず向き合っちゃったかな……あ、本能だからか。こういった行動に駆り立てられたからか。
まぁいいんだけど。
とりあえず難関は越したような気がするからいいんだけど。
ずっと感じる視線。
それは紛れもない王司からの視線で、ソファーの対面越しにある真っ黒なテレビ画面を見ながらこの先の考え事をしていた俺。
ふぅ……これは、イケる。
「ソファーでヤっちゃったなぁ……」
「ッ、あの、智志くん、ご――「謝ったら耳引っ張る――「……ッ」
「っ……」
連続でお互い息を飲みあってどうするんだ……。
俺としちゃ、耳を引っ張ると言った時、王司が俺のナカでまた大きくさせたチンコが気になって息を飲んだわけだが……こんな発言で興奮されても困るぞ。
つーかまだ大きくなるのかよ。それともあれか、王司も締め付けられて痛くなって萎えてただけか。
どっちにしろ俺のナカで復活するとか、どうなんだ?
「……よーし、王司。もういいぞ……イこうか」
「智志くん、大丈夫?俺、我慢出来なくて、結局痛いままで……うッ」
「だから泣くな。鬱陶しいって言っただろ……あー、話はあと。俺も、限界なんだ」
チクッと、王司の横っ腹の服を捲って爪で抓ればビクッと体が揺れた。俺の言葉も耳に入ったようで王司はゆっくりと挿れたモノの抜き差しをして腰を振る。
限界は、二重の意味で。
痛みの、快楽と。
快楽の、痛みと。
「ンぅ……はぁ、王司ッ……」
「んっんっ、さとしくん……アッ、ん」
「ふっは、ぁ、お前、声でけぇよッ」
「あぅ、だってだって、」
だんだんはやくなる腰の振りに、突き上げられて俺も人の事を言えなくなってきたような気がする。痛みからの痛みが、気持ち良くなってる、とか。
「さっ、さとしくんの、ナカ……ッ!気持ちイイ、んッ、だもん……あッあぁ、んッ……!」
「ゎっ、はや……!んン、おーじ、」
「智志くんっ、さとしくん……ッ、ぁん、やばっ……イっちゃいそッ」
ソファーを掴んでいた手が王司に取られてまた絡めてきながらもう片方の手で俺のを扱き、それと器用に腰振りも忘れていないこいつは、やはりスゴイ。
ただ突き上げられていたものから今度は集中的にある場所を突いていき、俺の気持ちもよりいっそ変わる。
「あ、ボケっ!そこッ……やめっ――」
「ぁ、はは……っ!智志くんさとしくん、もっと、もっと言って?んぁッ、殴って、ネ……ッ?」
あ、これもう、ダメだ。
ガクガクと揺れる目の前に扱かれた分、俺はイってしまい、その数秒後に王司の汗なのか涙なのかわからない水滴が落ちたなか、力のない拳とともにゴム越しでイった感じがわかった。
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